中外日報 1999年(平成11年)8月26日  中外雑記 浄土関係記事より 1/6紙面

新しい荘厳

 
▽このほど、愛媛県宇和島市の浄念寺(中村在徴住職)に仏画「阿弥陀十二光 仏極楽図」が納められた。

 描いたのは仏画家の藤野正観氏(楽詩舎・京都市西京区)。
 十二光仏を光の輪と して円に配し、その中心に 阿弥陀如来を配した新しい極楽の姿を表わす絵図であ る=写真。

 過去に、藤野氏 の手により地獄図が完成しており、今回の納品で、地獄・極楽の両幅がそろったことになる

▽中村住職は通 常見られる定形化された仏教絵画に疑問を抱く。
定形化された作品を良い悪いと判断をするのではなく、その時代ごとの人々の感覚に沿う表現なのかと思案する。

「仏教絵画は視覚伝道の手段でもある。そのために、伝統様式のみで表わすのではなく、今を生きる人々の感性に沿う表現でなければならない」と話している。

中村住職は今後も、伝統の良さを損なわずに、現代人の感性を取り入れた荘厳の在り方を追求していき たいとしている。


新しい極楽図を前に藤野氏(左)と中村住職(右)