日本最大の涅槃図が完成 京の仏画絵師5.1b四方の一枚和紙に描く
日本画家の横山大観が約七十年前にすかせた手すきの和紙を使った約五・一
b四方の日本最大の涅槃(ねはん)図を、西京区大原野北春日町の仏画絵師、
藤野正観さん(45)が描き上げた。 尼崎市の表具店で裏打ちなどの仕上げも終え、 このほど完成した。
完成した日本最大の涅槃図(尼崎の表具店)
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絵筆をふるった藤野さん |
和紙は、福井県今立郡今立町の紙すき職人、岩野平三郎氏が−九二七年に大観
の依頼を受けて三十二枚を すきあげた。うち十枚は大観に納められ、早稲田大学 図書館の壁画などを描い
た。 今回使った一枚は、三代目岩野平三郎さんの蔵に眠 っていたのが見つかった。
駒沢女子大などを運営する
駒沢学園(東京都稲城市) が仲介者を経て入手し、藤 野さんが絵筆をふるうこと
になった。 藤野さんは、昨年四月ごろから資料集めや下絵などの準備作業を開始。 和紙が 大きく、アトリエではスペ
ースが足りないため、住職
と懇意だった自宅近くの善峯寺の釈迦堂を借り、仕事場にした。七月中旬から制作に入り、朝から晩まで和紙に向かい約三カ月で描き上げた。
涅槃図は釈迦(しゃか) の死に際し、弟子や動物た ちが集まって悲しむ構図 で、藤野さんは「色使いに 最も力を注いだ」という。
温かい色調が、涅槃図らしい優しい雰囲気をかもしだ している。 藤野さんは「三カ月間、 善峯寺の宗教的な雰囲気
に包まれ仕事ができて幸せでした。仏さんにみ守られて会心の出来ばえにな り、満足しています」と話す。 一枚紙に描かれた涅槃図
としては日本で最大になるという。 駒沢学園は、「若いい生徒の感性に訴える作品
を描いてほしい」と、制作を依頼した。同学園では講堂に掲げる予定で、二月十五日の涅槃会の式典で生徒らに披露する。 |