中外日報 1996年(平成8年)10月19日   中外アート版、取材記事より 1/4紙面

十一月二〜四日
五分野八人研競う

京都 善峯寺で仏教美術展

 十一月二日から四日まで の三日間、善峯寺(掃部光 暢住職、京都市西京区大原 野小塩町七四八)は「仏教実術展」を開催する。
 プロの仏教美術家として活躍している藤野正観氏 (仏画家)、今野祥山氏(仏像彫刻家)、安房佑紀さん (仏像彫刻家)、加藤和宏氏 (陶芸家)、大高義教氏(陶芸家)、安房幸男氏(陶芸家)、小泉武寛氏(金工師)、中村栄順氏(鍛金師) の八氏が集まり本坊大広間 などを使って作品を展示する。


展示される藤野氏制作の「地藏菩薩」

表現方法の異なる作家が集合するこ七も、また、寺院ををギャラリーとして開放することも稀なことで、寺院と作家の両者にとり仏教美術の在り方を探る有意義 な挑戦である。

見る側にとつても、いつもの展覧会とはひと昧違った印象を受 けることになるだろう。 今回の展示企画は約一年前、掃部住職、藤野氏、今野氏の三氏が出会った時に 生まれた。
 受け手の反応を直に感じ、それをこれから の創作のエネルギにした いという作家としての気持と各刹ならではの展示環境の良さなどの好条件が結 びついた。作家諸氏は、一参拝者と率直な心で交流したいいとしている。
掃部住職は「こうした形で本坊を展示などに使うと いうことは、初めてです。
藤野さんとのご縁があって、 お仲間の作家の方々に展覧会をしていただくことにな りました。芸術家の方々に伸びていただくように、支援して行きたい と思つております」と話している。
仏画部門を担当する藤野氏は、”普段の仕事を観てもらいたい”と、装飾性を排除 した、手を合わせる対象と しての仏画「地蔵菩薩」など二十数点の出品を予定しており、「自分のやってき たことを喜びをもって展覧 し、参拝者の皆様の率直な反応に触れることができるのを楽しみにしています」 と話している。